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ドメインの管理画面に入れなくても、サイトを移せるか

サイトを別のサーバーへ移すのに要るのは、ドメイン名とサーバーの対応づけを書き換えることです。ドメイン名を登録した会社を変える手続き(移管)とは別で、移管できなくても、自社で書き換えられる場合があります。書き換えに使える管理画面は2つあり、どちらに入れるかで、いま進められる範囲が決まります。どちらにも入れないときは、ドメイン名の種類ごとに問い合わせ先が分かれます。

公開日 2026.08.15読了目安 12分著者 DD Defense Desk

サイトを移すとき、実際に書き換えるもの

書き換えるのは、サイトの中身ではありません。ドメイン名がどのサーバーを指すか、という1か所の設定です。中身は新しいサーバーへ置いたうえで、この設定だけを差し替えます。

訪問者が example.co.jp のようなドメイン名を開くと、いまはどこかのサーバーに置かれた中身が表示されます。サイトを別のサーバーへ移すというのは、この対応づけを新しいサーバーへ書き換えることです。対応づけはDNSレコード(どのドメイン名がどのサーバーを指すかを書いた設定)として保存されています。

よく混同されますが、ドメイン名を登録した会社を別の会社へ変える手続きは、これとは別です。手続きの名前を移管といいます。移管が止まっていても、対応づけを書き換えできれば、サイトは新しいサーバーで表示できます。逆に、移管できても対応づけを書き換えできなければ、表示先は変わりません。

対応づけを保存しているサーバーを権威サーバーといいます。JPRSは、権威サーバーを「DNSにおいて、あるゾーンの情報を保持し、他のサーバーに問い合わせることなく応答を返すことができるサーバー」と説明しています。ゾーンとは、そのドメイン名のレコードをまとめた単位です。訪問者のブラウザは、最終的にこの権威サーバーの答えを見てサーバーへたどり着きます。

書き換えに使える管理画面は2つあります。1つは、その権威サーバーの管理画面です。ここでレコードを直せば、指すサーバーが変わります。もう1つは、ドメイン名を登録した会社の管理画面です。ここではレコードそのものではなく、どの権威サーバーに答えさせるかを変えられます。権威サーバーごと別のサービスへ向け替えれば、新しい場所でレコードを作り直すことになります。

2つが同じ会社とは限りません。登録は制作会社、権威サーバーは別のDNSサービス、という組み合わせもあります。片方だけ使える状態もあります。

登録した会社の管理画面に入れても、向け替えを認めていない場合があります。たとえばCloudflareは、Cloudflare Registrarで登録したドメインについて、別のDNS事業者を使うにはドメインをCloudflareから移管する必要がある(外部サイト)としています。認めているかどうかは会社ごとに違うため、登録した会社の資料を見てください。

サーバーにファイルを置き換えるだけでは、対応づけは変わりません。ただし、サーバーの契約と同じ画面からDNSのレコードを編集できる構成もあるため、その画面に何があるかは確かめてください。サーバーの管理画面そのもので決まるのは、いまの中身を取り出せるかという別の判断です。

どちらの管理画面に入れるかで、できることが決まる

入れる管理画面によって、できる作業と止まる場所が変わります。どちらか片方に入れれば進むことがあり、両方がそろっている必要はありません。

  • 対応づけを保存している権威サーバーの管理画面に入れる:そのドメイン名のゾーンを編集できるなら、レコードを書き換えて指すサーバーを変えられる。登録した会社の管理画面に入れなくても、移管が止まっていても進む。閲覧だけの権限だったり、ゾーンが別のアカウントにあったりすると、そこで止まる。
  • 登録した会社の管理画面には入れるが、権威サーバーの管理画面には入れない:権威サーバーごと別のサービスへ向け替えられるなら、移管の手続きは要らない。向け替えを認めていない会社もあるため、まずそこを確かめる。レコードは新しい場所で作り直すことになるので、いまの内容をどこまで再現できるかが分かれ目になる。
  • 移管そのものが止まっている:登録した会社が応答しない、移管に要る認証コードが出ない、といった状態を指す。対応づけを書き換えできるなら、サーバーを移す作業は移管の結果を待たない。止まるのは登録先を変えることで、更新をいまの会社に頼る状態が残る。
  • どちらの管理画面にも入れない:いまは自社で対応づけを書き換えできない。ドメイン名の種類ごとの問い合わせ先で、管理画面に入れる状態を取り戻せるかを先に確かめる。問い合わせる先はあるが、自社が手続きを進められると確認できたわけではない。

管理画面に入れるかどうかとは別に、契約の名義、通知の宛先、支払いを誰が決めているかも確認の対象になります。対応づけを書き換えできても、有効期限を過ぎたドメイン名は使えなくなるためです。連絡が取れないままサーバーを移す場合の進め方は、制作会社と連絡が取れないサイトの移行にまとめています。

どちらの管理画面にも入れないとき、種類ごとに確かめられること

どの管理画面にも入れない場合、次に見るのはドメイン名の登録情報です。ここから先は、ドメイン名の種類で制度も問い合わせ先も変わります。.jp の根拠を .com へ持ち込まないでください。逆も同じです。

ドメイン名の種類は、表に挙げた3つだけではありません。自社のドメイン名がどれに当たるかは、IANAのRoot Zone Database(外部サイト)で末尾を引けば分かります。種別(Type)の欄が generic なら .com と同じ側、country-code なら国ごとのものです。sponsored(.gov や .edu など)や infrastructure(.arpa)もあり、どちらにも当たりません。表が扱うのは generic と country-code だけです。登録した会社に問い合わせなくても、自分で確かめられます。

ドメイン名の種類登録を管理している組織最初に見る問い合わせ先問い合わせても分からないこと
.jp(JPドメイン名)JPRS(日本レジストリサービス)Whoisという照会サービスと、登録を扱っている指定事業者。事業者が分からないときはJPRSの窓口登録を扱っている会社と連絡が取れない場合の扱い。JPRSの資料に記述が無い
.com や .net など、国に結び付かないものICANNが方針を定め、登録は認定を受けた会社が扱うRDAPという照会の仕組みと、登録を扱っている会社。義務違反が疑われるならICANNの苦情窓口ドメイン名を取り戻せるかどうか。ICANNに返す権限は無い
.uk や .eu など、国ごとのものその国のドメイン名を管理している組織その組織の資料.jp と .com の制度は当てはまらない。ICANNの窓口も対象外になる

JPRSは、Whoisを、IPアドレスやドメイン名の登録者などに関する情報を参照できるサービスと説明し、JPドメイン名について登録ドメイン名、ネームサーバー、登録年月日・有効期限、登録者名などを提供しています。登録者名が表示されれば手がかりになりますが、表示されない場合や登録情報が古いままの場合もあるため、ここで管理者を確定できるとは限りません。同じページは、2019年より .com などではWhoisに代わるRDAPの提供が義務付けられている(外部サイト)としています。

登録者名が表示されない理由は、1つではありません。汎用JPドメイン名と都道府県型JPドメイン名には登録者名を非表示にできる設定(外部サイト)があります。JPRSは「本機能の利用が可能なドメイン名は、汎用JPドメイン名・都道府県型JPドメイン名です」としており、example.co.jp のような属性型JPドメイン名は対象外です。非表示にした場合でも、公開連絡窓口の連絡先へ連絡するよう案内されています。ほかの理由もあり得るため、名前が出てこないことだけを根拠に、連絡できないと判断しないでください。

.jp では、問い合わせ先が指定事業者(JPRSと契約して登録を扱っている会社)に固定されます。JPRSは「JPドメイン名の申請はすべて指定事業者を通じて受け付けており、日本レジストリサービス(JPRS)に直接申請していただくことはできません」と明記しており、登録情報の変更と、ネームサーバー設定の変更は、いま管理を委託している指定事業者への連絡から始まります。登録者本人であっても、JPRSへ直接は申請できません。Whoisで事業者まで分からない場合は、ドメイン名を添えてJPRSの窓口へ問い合わせると、「そのドメイン名の登録者、または登録・技術の連絡担当者であることが確認できた場合のみ」指定事業者を知らせるとしています。公開情報に自社が出てこない場合、条件を満たすかどうかは問い合わせてみないと分かりません。

移管だけは、連絡する先が違います。JPRSは「変更先の指定事業者(これから管理を依頼したい指定事業者)へお問い合わせください」としています。いま管理している会社が応答しなくても、話を持ち込む先はあるということです。ただし手続きの途中では変更元を経由します。指定事業者を変える通常の手順(外部サイト)では、認証コード(AuthCode)の取得と意思確認の双方で変更元を経由し、ロックが設定されていれば先に解除が要ります。AuthCodeなしで進める案内も残っていますが、2022年11月13日から2023年11月12日までの移行期間に限ったもので、いまの手順として当てにできません。変更元が応答しないときにどう進めるかは、JPRSの資料には書かれていません。移管の道が開くのを待つより、対応づけを書き換えて先に移せないかを確かめるほうが早く決まります。

ここから先は .com の話です。まず、適用法令を守るために登録情報を伏せる会社は、メールアドレスまたはWebフォームへのリンクを公開しなければならない(外部サイト)とされています。.jp の非表示設定と形は似ていますが、根拠になっている制度は別です。まとめて扱わないでください。

移管の根拠も別です。Transfer Policy(外部サイト)は、登録者と会社の間に支払いをめぐる紛争があるという理由だけで、移管を禁止する状態の解除や認証コードの提供を拒んではならないと定めています。登録者自身がコードを生成して解除できる仕組みを会社が用意していない場合は、最初の請求から5暦日以内に応じなければならないとされています。ただし、支払いを理由に拒めないと一般化はできません。登録期間に関する未払いは別途拒否事由になり得ます。根拠として使えるのは、支払いをめぐる紛争だけを理由に拒まれた場合までです。

応答が無いときは、ICANNが登録サービスに関する苦情の受付窓口(外部サイト)を設けています。申し立てられるのは契約またはポリシー上の義務違反が疑われる場合で、応答しないことだけであらゆる問題が対象になるわけではありません。ICANNは「失われたドメイン名をあなたに返す契約上の権限も技術的な能力も持たない」と明記しており、取り戻す手続きの代わりにはなりません。同社は .jp のような国別のドメイン名を扱う組織を認定しておらず、遵守措置を取る契約上の権限も持ちません。.jp は対象外です。

いまのサーバーから中身を取り出せるか

ドメイン名とは別に、サイトを置いているサーバーの契約にログインできない問題があります。ここで決まるのは、いま公開されている中身を手元に取り出せるかどうかです。取り出せなくても、表示されているページから作り直せる範囲は残ります。どこまで集められるかは制作会社の協力が得られないとき、いまのサイトを作り直せるかにまとめています。

契約に登録されたメールアドレスが制作会社のものになっていると、そのアドレスへ再設定の案内が届く方式では始められません。行き止まりとは限りません。さくらインターネットは、会員メニューの登録メールアドレスが不明または利用できない場合に、登録メールアドレスを依頼元のアドレスへ変更する手続きを用意しています。会員登録情報を入力して送る形で、不明な項目がある場合は代替情報の提示か証明書類の提出を求めるとしています。証明書類が常に必要というわけではなく、請求書番号などの代替情報で足りることがあります。

当てはまる範囲は限られています。同社は法人契約について「管理代行事業者やグループ企業内の他法人等、第三者法人に所属の方からのご依頼はお受けできません。必ず契約者名として登録されている法人に所属される方よりご依頼ください」としています。契約者名が制作会社になっているなら、手続きの相手は自社ではありません。代替情報で足りるのは「会員登録情報の必須項目のうち1つのみご不明な場合」とされており、名義も住所も分からないなら済みません。

書類を出せば必ず認められるわけでもありません。同社は「情報が一致しない場合は、不一致となった情報の再確認や証明書の提出に関してメールの返信にて案内します」としており、「回答まで1~2営業日のお時間をいただく場合があります」としています。同じ手続きがどの会社にもあるとは限らないため、契約している会社の資料で確かめてください。

書き換える前に確かめること

対応づけを書き換えできる段階になったら、いまのレコードを新しい場所へ作り直すことになります。そのドメイン名でメールを受けているなら、MX(メールの配送先を示すレコード)やDKIM(送信元を確かめるためのレコード)のように、メールに関わるレコードが欠けていないかを書き換える前に確かめてください。

Cloudflareは、既存のDNSレコードを自動で読み取る機能について、繰り返し現れるレコードの種別と名前の一覧に基づくものであり、すべてのレコードが拾われるとは限らない場合があるとしています。独自のホスト名や、標準的でない名前のDKIMレコードは見つからないことが想定されています。同社は「ネームサーバーを変更する前に、必ずDNSレコードを確認し、不足しているものを手動で追加してください」としています。必ず欠落するという話ではありませんが、自動で拾えた分だけで足りていると考えないでください。

相談するときは、次を先に調べておくと、どこから進められるかが決まります。

  • ドメイン名の種類:.jp か、.com などか、それ以外の国別のものか。適用される制度も問い合わせ先もここで分かれる。
  • 登録者と登録担当者の連絡先:誰の名義で、通知がどこへ届くか。制作会社のままなら、期限に関わる通知が自社へ直接は届かない。
  • いまどこに対応づけが保存されているか:登録した会社のものか、外部のDNSサービスか。レコードを編集できる場所が変わる。
  • 有効期限と支払い方法:いつまで有効で、誰が支払っているか。更新を自社で決められないなら、期限までに決着させる問題になる。
  • 止められないメール:そのドメイン名で受けている業務メールがあるか。書き換えの手順が変わる。

期限は、制度ごとに別々に来る

書き換えができるかどうかとは別に、待っている間に選べなくなるものがあります。期限は1つではなく、制度ごとに別々に来ます。

契約している会社の側が廃業した場合は、別の扱いになります。JPRSは、指定事業者契約が終了して指定事業者が存在しなくなったJPドメイン名(外部サイト)について、新たな指定事業者が定まっていない場合は一定期間JPRSにて管理を行うとしています。その期間中、「当該ドメイン名の登録担当者に対して、管理指定事業者の届け出をして欲しい旨を電子メールや郵便で複数回お知らせします」とし、期間内に届け出がない場合はネームサーバー設定の解除とドメイン名の廃止が実施されます。通知は登録担当者へ届きます。連絡先が制作会社のままなら、複数回の通知が自社へ直接は届かず、期限を把握できないおそれがあります。なお、期間の長さは同じページに書かれていません。

.com では、登録を扱う会社の認定が終了した場合に一括移管(外部サイト)の仕組みがあります。ICANNは登録者に費用は生じないとしつつ、「通常の事業者間の移管と異なり、登録期間は1年延長されない」と明記し、期限が近い場合は移管先の会社へ連絡するよう案内しています。延びないのは一括移管に伴う1年分で、更新できなくなるわけではありません。移管後60日以内に期限が来る名前は、登録者が移管先の会社で更新する必要があるかもしれないとされ、同じ60日の間は移管先の会社がさらに別の会社へ移すことを裁量で拒否できるとされています。

有効期限、指定事業者の契約が終わったときの届け出、.com の一括移管は、それぞれ別の制度です。まとめて考えないでください。期限が来たときに何が使えなくなるかも、どの期限かによって違います。

参考情報(外部サイト)

本文で参照した外部の公開情報です。

決まらない部分を残したまま、区切りだけ先に決める

調べても、どこまで動かせるかが決まらないことがあります。問い合わせの返事が来ない、名義が誰か分からない、といった状態です。ここまでの確認は、決まらない部分をはっきりさせるためのもので、すべてが決まるとは限りません。困るのは、決まらないまま時間が過ぎることのほうです。

決まらない状態でも、決められることが1つあります。いつまでに何が分からなければ別の手を考えるか、という区切りです。逆算の起点になるのは、サーバーを移す作業を止める期限です。候補は、Whoisで見えるドメイン名の有効期限、サーバーやDNSの契約が終わる日、制作会社との契約が終わる日、業務上の切り替え期限です。どれが効くかは、止まる作業が移すために要るかどうかで変わり、日付の早さだけでは決まりません。指定事業者が存在しなくなったときの届け出の期間は、引用した案内に長さが示されていないため、起点にはできません。区切りを先に決めておけば、返事を待ち続けるだけの時間を作らずに済みます。

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