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WordPress静的移行を自社に適用できるか、機能ごとの判断基準

「ハイブリッド静的移行」では、WordPressの管理画面を残したまま、公開側を表示専用の静的構成へ移します。ただし、どのサイトでもそのまま移せるわけではありません。自社が適用できるか、条件付きか、向かないかを、機能ごとに判断できます。

公開日 2026.07.18読了目安 4分著者 DD Defense Desk

アクセスのたびに作るか、あらかじめ作っておくか

従来のWordPress(動的構成)は、アクセスがあるたびにWebサーバー上でPHP(Webサイトを動かすプログラムの処理系)が動き、データベースに問い合わせてHTMLページをその都度組み立てて返します。実行環境が常時インターネットに公開されている状態で、ここが脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を狙った攻撃の標的になります。

静的移行では、ページのファイルをあらかじめ作り置きしておき、アクセスに対しては生成済みの静的HTMLファイルだけを返します。公開サーバー上でプログラムの実行もデータベースへの接続も起きないため、SQLインジェクションやプラグインのRCE(リモートコード実行)のように、公開側で動くプログラムを狙う攻撃は成立しなくなります。

管理画面での編集は残り、変わるのは公開までの段取り

「静的にすると、管理画面から記事を更新できなくなるのでは」という心配があります。ハイブリッド静的移行では、編集と管理を、アクセス元の制限や認証で保護した非公開のWordPress(管理専用の環境)に残します。公開側へは、編集内容から作り直した静的HTMLファイルを配置します。記事を書く操作は、管理画面のまま変わりません。

変わるのは、編集してから公開に反映されるまでの段取りです。プレビューと予約公開も、作り直しの仕組みに合わせた作りが要ります。保存してから作り直しと配置が終わるまでの間は、公開側のファイルが前の内容のままだからです。

段取りの組み方は構成によって違うため、移行を頼むときに次の5点を確認してください。どの製品・仕組みで静的HTMLを作るか。作り直しを保存に連動させるか、操作をまとめて行うか。毎回すべてを作り直すか、変更分だけにするか。配置が終わったことをどこで確認できるか。配置に失敗したときに前の状態へ戻せるか。

反映までには、作り置きの処理の分だけ時間がかかります。かかる時間は、ページ数、全体を作り直すか変更分だけか、画像の作り直しをどこまで含むかなどで変わります。組み合わせで決まるため、実際の構成で計測した値を出してもらってください。待ち時間が許容できるかどうかは、あとの適用判断に関わります。

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移行の前後で何が変わるか

公開側から何がなくなり、何が変わらないかを並べます。移行後に自社の運用のどこが変わるかを見るための表です。

見るところ従来の動的WordPressハイブリッド静的移行後
公開側で動くものPHPプログラムとMySQLデータベース静的ファイル(HTML・CSS・JavaScript・画像)のみ
公開側の更新作業プラグインとテーマの更新に追従し続ける更新の対象が公開側から無くなる。管理用のWordPressでは引き続き必要
表示までの処理アクセスのたびにサーバーが組み立てる配信元が作り置きのファイルをそのまま返す。CDNに置く構成が多い
公開側から狙える攻撃脆弱性を突いた侵入やデータベースの改ざん公開側で動くプログラムを狙う攻撃は成立しない。管理用の環境と外部サービスは対象に残る

自社が適用できるかは、機能ごとに決まる

静的移行の可否は、サイト全体では決まりません。使っている機能を1つずつ見て、そのまま移せるか、別の仕組みに置き換えるか、公開側に残すかを決めます。1つのサイトの中で、この3つが混ざることになります。

機能扱い確認すること
記事・固定ページの表示そのまま移せるなし。事前に作り置きして配信する
問い合わせフォーム置き換える添付ファイルの受け取り、自動返信の要否、送信内容の保存先
サイト内検索置き換える対象のページ数。数が多いと外部の検索サービスが要る
会員向けの非公開ページ条件による誰にどこまで見せるか。ページ単位の出し分けなら方法があるが、利用者ごとに内容が変わるなら公開側に処理が要る
予約・決済・在庫の表示公開側に残るその場で結果が変わる処理は事前に作り置きできない。外部サービスに寄せるか、その部分だけ動的に残す

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向かないサイトの条件

次に当てはまる場合、公開側から実行環境を外しきれません。無理に進めても動的な部分が残るため、期待した効果が出ないことがあります。

ただし、当てはまる項目があっても全体を諦める必要はありません。サイトの大半を静的にして、動的な処理が要る部分だけを分けて残す形も取れます。減らせる範囲がどこまでかは、機能の棚卸しをしないと決まりません。

  • 利用者ごとに表示内容が変わる:ログイン後のマイページ、購入履歴、在庫や価格の即時反映など。あらかじめ作り置きできないため、その処理は公開側に残る。
  • 更新から公開までの時間を秒単位で詰めたい:静的移行では、編集から公開までの間に作り置きの処理が入る。処理を始める時点も、かかる時間も構成によって違うが、待ち時間そのものは無くならない。秒単位の反映が要件なら、実際の構成で計測した値が要件に収まるかを先に確かめる。収まらなければ合わない。
  • 公開側でしか動かせない仕組みに依存している:特定のプラグインが公開側のPHPで動くことを前提にしている場合、代替を探すか、その機能を諦めるかの判断になる。

判断に必要なのは、機能の棚卸し

適用できるかどうかは、サイトの規模や業種では決まりません。機能ごとに見た結果の積み上げで決まります。判断が変わるのは主に、利用者ごとに内容が変わる処理があるか、公開までの待ち時間を許容できるか、公開側のPHPでしか動かない仕組みに頼っていないか、フォームと検索を別の方式に移せるか、の4点です。4点で拾いきれない仕組みもあります。表示のたびにサーバー側で中身を組み立てるブロック(動的ブロック)や、外部システムと常時やり取りする連携がある場合は、機能の一覧に挙げて個別に見ます。

ここでいう「収まる」は、公開側でその処理を動かさなくても、閲覧者から見た振る舞いが変わらない状態を指します。外部のサービスへ預ける、閲覧側だけで完結させる、作り置きの間隔を詰める、のいずれかで届くかどうかです。挙げた項目のすべてが収まるなら適用できます。1つでも収まらないなら、その部分を公開側に残す条件付きの適用になります。収まらない部分がサイトの中心を占めるなら、公開側から実行環境を外す効果は限られるため、静的移行ではなく別の方法を検討することになります。

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